情報機器を森林管理に活かす(18)
GPS計測した路線図と測量図への取り込み方法

(岐阜県森林研究所) 古川 邦明



今回も前回に引き続きツールの活用事例について紹介します。前回は図-1の「@測量座標・地図座標変換ツール」を使って、測量図をカシミールなどの地図ソフトに取り込み地図上に重ね合わせ表示する方法を紹介しました。今回は、「A緯度経度・測量座標等変換ツール」を使っての具体例を紹介します。

座標変換の2つのツール
図1 座標変換の2つのツール
※「緯度経度・測量座標変換ツール」でGPSのトラックデータを変換するとCADに取り込むことができる。

森林研究所のHPで公開している「森林測量システム」は測量図をCADで描いています。CADは、測量した各測点をXY座標で位置を決めて描画しています。座標はメートル等の長さの単位となっています。一方GPSでは、基本的に緯度経度で記録しています。緯度経度のままではCADに取り込むことはできません。

「A緯度経度・測量座標等変換ツール(以下変換ツールA)」は、緯度経度を一括でメートル単位の座標に変換します。この活用方法として間伐事業地で管理道を付け場合を例に説明します。地図ソフトはカシミールです。

補助事業等で間伐を行った場合、事業地の周囲を測量して事業区域図を作成しますが、簡易な集材路や管理道を作った場合、線形を測量しないことが多いと思います。間伐調査や作業路確認の際にGPSで、移動した経路を記録しておけば、前回紹介したツールで、測量図と併せてカシミールに表示して、管理地図として活用出来ます(図-2左上図)。しかし、CADで作成された測量図面に、GPSの緯度経度の座標による線形のデータは直接表示させることはできません。

         
GPSで計測した作業路線形を測量図に取り込む
図2 GPSで計測した作業路線形を測量図に取り込む
※GPSで計測したトラックデータを「変換ツールA」を使って、CADに取り込み測量図に重ね合わせた。測量図にGPSデータを取り込めば、より多くの情報を持った事業地管理図にできる。

そこで「変換ツールA」を使います。まずカシミールに取り込んである管理道の線形の緯度経度データをテキストファイルとして保存します(連載(15)森林のたより663号参照)。このファイルを「変換ツールA」に読み込んで一連の操作を行うと、CADで扱える座標ファイルに変換します。このファイルを読み込んだのが、図-2の右です。

測量データをカシミールで表示する利用法に比べ、利用される方は少ないかも知れません。測量するのは大変だけど、位置は把握しておきたい。このような場合はGPSで計測しておき、測量データと共用することで、森林管理図としての利用価値や活用方向が広がっていくと思います。