情報機器を森林管理に活かす(15)
コンパス測量とGPSの連携

(岐阜県森林研究所) 古川 邦明



今回は、コンパス等で周囲測量(境界測量)や作業道の線形測量した結果をカシミールやGISソフトで読み取れる形に変換するツールについて紹介します。


コンパス測量での座標は起点の座標を(0,0)とした相対的な座標です。最近では、森林簿や林基本図がGIS化され、位置計測でもGPSが使われるようになるなど、林小班や路網線形も絶対的な座標での管理が一般化しています。これまでの連載でも、カシミールとGPSを使った森林位置情報管理法を紹介してきましたが、相対座標ではカシミールやGISに直接取り込むことはできません。

度々、測量図をカシミールに表示させたいとか、CADにGPS計測した結果を表示したいといった要望がありました。そこで測量した座標を緯度経度等に変換するツールをエクセルで作成しました。

【測量座標→平面直角座標&緯度経度変換シート】

コンパス等で測量した結果を緯度経度と平面直角座標に変換します。コンパス測量した境界線や道路線形をカシミールやGIS、GPSに取り込むために使います。

緯度経度平面直角座標変換シートの表示画面
図1 緯度経度平面直角座標変換シートの表示画面。測量した座標を緯度経度に変換するツール画面。

1)座標の読込

図1がツールの画面です。座標値はm単位とし、X,Yの並びで測点順としテキストファイルとしてあらかじめ保存しておきます。@の[測量座標読込]をクリックすると測量座標系で記録された座標値を読み込みます。また、座標値は、シートに直接入力しても、エクセル等からカットアンドコピーすることもできます。

@の[XY(数学座標)読込]は、路網解析ツールや基本図などに手書きで描いた区域図や線形図の座標を図面から読み取って作成した座標ファイルを読み込むために作成しました。一般にグラフなどの座標である数学座標と測量座標はX軸とY軸が逆になるための対応です。

2)緯度経度変換のための設定値入力

相対的な座標を緯度経度に変換するためには、1点緯度経度を入力する必要があります。B[基準点in]で緯度経度を入力する測点を指定して入力します。また、コンパス測量の場合は、磁北補正の必要があります。岐阜県の場合、この値は7.2度前後ですので、デフォルト値を7.2度としています。異なる場合は、磁北補正角入力用のセルに正しい補正角を入れます。

3)座標変換

A[平面座標変換]で平面座標系に、D[緯度経度変換]で緯度経度に変換します。 4)最後に、E[trk出力]で、変換した緯度経度をGPSやカシミールで読み込めるファイル形式で保存します。


以上で、測量結果をカシミールに表示することができます。