情報機器を森林管理に活かす(7)
GPSとデジタルカメラ

(岐阜県森林研究所) 古川 邦明



前回までに、森林調査でGPSを使う際に心がけることや、GPSの基本的な特性について紹介しました。今回から、活用方法について紹介していきます。


【デジタルカメラで森林情報管理】

森林調査には、デジタルカメラを携行していると思います。デジタルカメラでは手軽に撮影でき、画像ファイルがどんどん増えてきます。ファイルを見れば、撮影日や時刻はわかりますが、私などしばらくしてから画像を見ると何処を撮影したのか忘れてしまって困ることがよくあります。時刻と同じように、撮影した位置も記録できれば、画像ファイルの管理だけでなく、森林調査や作業路などの管理、記録としても大変有用なデータとして活用できるでしょう。

デジタルカメラでは「Exif」と言う規格の画像が使われています。この規格では、撮影日時意外にも、GPSの位置情報、タイトル、コメントなど100近い項目をファイルそのものに書き込むことができます(図1)。 ExifにGPS情報が書き込まれていれば、地図ソフト等がその情報を読み取り、その位置に画像をリンクさせることができます(図2)。このExif情報を活用して、森林や林道作業路の状況を視覚的に判りやすく管理することもできます。これらのデータはコピーしても変更される事はなく、画像ファイルのやりとりで情報を共有することができます。

Exifの一部
図1 Exifの一部 画像と同時にタイトル、コメント、緯度経度等100項目近い情報が記録できる

Exifに位置情報が記録された画像ファイルを読み込んだ状況
図2 地図ソフト「カシミール3D」で、Exifに位置情報が記録された画像ファイルを読み込んだ状況。画像の位置にサムネイルが表示される。ダブルクリックで全画面表示。Exifの内容を見たり編集もできる。

Exifに位置情報を書き込むのは、GPSカメラを使えば簡単に行えますが、機種も少なく高価でもあります。GPSのトラックデータと撮影時間を見比べながら、手作業でExifに位置情報を書き込むこともできますが、非常に手間がかかります。そこで、一般的なデジタルカメラで撮影した画像ファイルにGPSで計測した緯度経度を手軽に書き込む方法について紹介します。

 

【必要な機材】

  1. GPS受信機: トラックデータ(連載2参照)が記録できるもの。ハンディGPSやメモリー内蔵GPS受信機(図3)を使用します。
  2. パソコンソフト:カシミール3Dという地図ソフトがおすすめです。インターネット等で入手してください。
  3. デジタルカメラ:一般的なコンパクトデジタルカメラを使います。
小型GPS受信機
図3 小型GPS受信機。右の2種は、代表的なハンディGPS。表示部に地図やトラックを表示できる。左の2種はディスプレーが付いていないが、メモリーを内蔵しトラックデータ等は記録できる。現場では単独で持ち歩き、データはパソコンに取り込み管理する。どちらのトラックデータでも対応できる。

【現場に出て使ってみましょう】

調査に出かける前に、まずデジタルカメラの内蔵時計の時刻を合わせます。GPSは、正確な時間で管理されています。画像ファイルの撮影時間とGPSのデータを比較して撮影位置を推定しますから、できるだけ正確に合わせます。

GPSはトラックデータの取得間隔の設定をします。5〜30秒程度が良いと思います。移動速度が速いときは間隔を短く、徒歩等での移動が主のときは、間隔を長くて大丈夫ですが、私は普段10秒に設定しています。

林内で少しでも感度良く受信するために、GPSはできるだけ高い位置に取り付けます。ザックのショルダーベルトに取り付けるバンドを使うなどそれぞれ工夫してください。後はGPSを持って、写真を撮ってくるだけです。

現場から戻ってからの処理等の方法については、次回説明します。