森林作業道の損壊発生リスクを評価する地図の作成

(岐阜県森林研究所) 和多田 友宏

森林のたより 2026年3月号掲載



はじめに

主伐・間伐等による木材の集積・搬出や主伐後の再造林等の森林整備のために継続的に用いられる森林作業道は、土構造(切土・盛土)を基本とすることから、作設適地は限られます。事業地選定の段階でまとまりをもった作設適地を把握するためには、「路網整備難易度推定図」等の利用が有効です。(「路網整備難易度推定図」について、詳しくは森林のたより860号をご参照ください。)
 事業地選定後に森林作業道の詳細な線形検討を行う際には、崩壊危険地を考慮した検討が重要です。そこで、崩壊危険地を考慮し森林作業道整備における損壊発生リスクを評価する際の参考とするため、林地の傾斜角度(以下、傾斜)と平面曲率(凹凸)の数値から地図を作成し、現地検証しましたので、その結果を報告します。

地図の作成方法

地図の作成にあたっては、地形データ(5mメッシュの数値標高モデル)を使用し、傾斜と平面曲率を計算しました。
 メッシュ毎の傾斜と平面曲率の値から7区分に分類した地図を作成しました(図1左)。

現地検証結果

地図の区分内容を検討するため、既設森林作業道14路線(設計幅員3.0m以下)において検証を行いました。調査路線で発生した損壊のうち、崩壊土砂が下方の保全対象等へ流下することで、重大な災害につながる恐れの高い「盛土崩壊」との関係を調査しました(図2)。
 路線全体を5m間隔で区切った箇所の地図上の区分は図2左のとおり、「傾斜20度未満」から「傾斜35度以上」まで広く分布していましたが、盛土崩壊箇所の地図上の区分は図2右のとおり、傾斜35度以上が約9割を占めており、傾斜30度未満に区分されていた箇所での盛土崩壊はありませんでした。
 この結果から、傾斜と平面曲率を組み合わせた地図によって損壊発生リスクが高い場所を評価できることが確認できました。さらに「傾斜35度以上かつ凹地形」と「傾斜35度以上かつ凸地形」において考慮することで約9割の崩壊危険地を避けることができることから、傾斜35度以上の箇所のみ着色した地図を新たに作成しました(図1右)。

    
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おわりに

今回作成した地図は県内全域分を作成し、当所のウェブサイト上にある「ぎふ森林情報WebMAP」にて3月下旬に公開予定です。また、この地図の活用方法についても当所ウェブサイト上で公開している手引き書「壊れにくい道づくりのための森林作業道作設の手引き」を改訂し、地図と合わせて公開予定です。壊れにくい森林作業道作設のため、是非ご活用ください。