国産の白トリュフ(ホンセイヨウショウロ)を人工的に発生させることに成功しました

(岐阜県森林研究所) 水谷 和人

森林のたより 2026年1月号掲載



はじめに

トリュフは、生きた樹木の根に共生する菌根菌で、世界三大珍味として知られる高級食材です。国内で流通するトリュフは、すべてヨーロッパや中国などから輸入されており(令和6年の輸入額は約24億円)、国内で採取されたトリュフは栽培されていません。
  国内にもヨーロッパのものとは別種のトリュフが自生するため、それらを用いた栽培技術の確立が望まれています。

国内に自生するトリュフについて

我が国には二十種以上のトリュフが自生し、その中には食材として期待ができる種も存在します。特に、黒色のアジアクロセイヨウショウロ、および白色のホンセイヨウショウロが有望な食用として期待されています。黒色のアジアクロセイヨウショウロを人工的に発生させることに成功したことは、本誌854号で紹介しました。
  ここでは、国内に自生する白色のホンセイヨウショウロの人工発生に関する取り組みについて紹介します。

白トリュフが共生した苗木を作る

コナラの種子を採取し、滅菌した鹿沼土で育てました。本葉が二〜三枚になった頃、トリュフをミキサーで粉砕して苗木の根に接種し、鹿沼土に埋め戻しました。その後、照明付き育苗室で適宜散水して管理しました。三ヶ月ほど経過すると、ほぼすべての苗に菌根の形成が認められ、室内の環境下で白トリュフが共生した苗木を作ることができました(図1)。

図1 白トリュフ接種後3ヶ月のコナラ苗木
図1 白トリュフ接種後3ヶ月のコナラ苗木

白トリュフが二年連続で発生しました

令和元年6月、室内で作成したホンセイヨウショウロの菌が共生したコナラ苗木を野外に植栽しました。植栽して4年4ヶ月が経過した令和5年秋に、キノコが発生しているのを確認しました。発生したキノコの大きさは様々で、直径2cmを超えるものは4個でした。黒トリュフと同様に、国産白トリュフであるホンセイヨウショウロも人工的な発生に成功しました。
  さらに、令和6年秋に同じ試験地(図2)で昨年よりも多い12個(直径2cm以上)の白トリュフの発生を確認しました(図3)。二年連続で発生したことから、白トリュフの菌が定着し、土中で安定的に増殖している事が推察されます。
  令和4年秋、森林総合研究所は、国産白トリュフであるホンセイヨウショウロを初めて人工的に発生させることに成功しています。岐阜県での発生はそれに続いての国内での人工的発生事例です。

図2 白トリュフの発生地 図3 令和6年に発生した白トリュフ
図2 白トリュフの発生地 図3 令和6年に発生した白トリュフ

おわりに

今回、国内に自生する白トリュフが二年継続して発生しました。この成果は、黒トリュフに続くものです。ただ、栽培技術の確立のためには、継続して安定発生させることが必要不可です。今後も、栽培の実用化に向けて、トリュフ発生の継続調査や再現性の確認、短期間で安定的に発生させる技術開発を進めます。
  この成果は、農林水産省委託プロジェクト研究「高級菌根性きのこの栽培技術の開発(H27〜R1)」の一部として得られたものです。