シイタケ収穫後の変色について

(岐阜県森林研究所) 水谷 和人



○シイタケは鮮度低下が激しい

生シイタケは鮮度低下が著しい食材であり、鮮度低下は傘の開き、柄の切り口や傘の裏が褐色に変色するという形で外観に顕著に現れます。シイタケは、エリンギやブナシメジ、エノキタケなどに比較すると、鮮度低下に伴う色の変化が非常に大きいキノコです。

収穫したシイタケは、高さを揃えるために、柄の根元部分を切断し、切り口を上にしてトレイに並べます。この場合、柄の切り口の変色は、消費者の目につきやすいことから、商品性の評価に大きく影響します(図1)。

そこで、収穫した後の柄の断面の変色が、位置によってどう異なるかについて調べました。

  
図1 柄の切り口の変色
図1 柄の切り口の変色

○変色は柄の位置で異なるか

菌床栽培(種菌は北研607号)で、シイタケを発生させました。菌床は、全面発生とし、簡易パイプハウスで、床に適宜散水をして管理しました。発生したシイタケは、柄の長さが3cm程度のものを選び、ステンレス製の包丁を使用して、下部から上部へ概ね1cmの幅で輪切りにし、密閉容器に入れて約17℃で6日間保存しました(図2)。

保存後、柄の各断面の変色の程度を示す指標として、色彩計(図3)によって明度を測定しました。明度(L値)は、色の明るさを示し、値が小さいほど暗くなり、変色が進んでいることを示します。

  
図2 柄の各断面の変色
図2 柄の各断面の変色
  
図3 色彩計
図3 色彩計

○変色を少なくするために

保存後の柄の断面の変色は、位置によって違いが見られました。変色の程度は、柄の下部で少なく、真ん中付近で進む傾向にありました(図4)。

変色を少なくするためには、パック詰めの際に、柄の真ん中付近は変色しやすいことから、柄の下部で切断することが有効であると考えられます。

現在は、柄の真ん中付近が変色しやすい原因について調査を進めています。また、栽培方法で柄の長さを調整する技術の開発も必要と考えています。

  
図4 柄の各断面の明度
図4 柄の各断面の明度