土砂・濁水を流出させない道づくりのための
「森林作業道開設の手引き」を作成しました

(岐阜県森林研究所) 臼田 寿生



はじめに

森林作業道は、安定的な木材生産や適切な森林管理のために重要な役割を担っています。しかし、開設時には土壌の掘削をともなうことなどから、一時的に土砂や濁水が流出しやすくなるという課題も抱えています。このため、開設する場所や方法を誤ると下流へ影響を与えることが懸念されます。

そこで森林研究所では、(独)森林総合研究所や石川県農林総合研究センターなどと協力して、森林作業道からの土砂・濁水の流出を最小限に抑えるための研究に取り組んできました。

本研究の成果は、これまでにも本誌などを通じて随時発信してきたところですが、昨年度までに、これら一連の成果を体系的にまとめることができましたので、「森林作業道開設の手引き〜土砂を流出させない道づくり〜」として取りまとめ、発行しました(図-1)。

今回はその概要について簡単にご紹介します。

  
図−1 森林作業道開設の手引き
図−1 森林作業道開設の手引き

手引きの概要

この手引きは、森林作業道の開設に携わる施業プランナーや森林作業道作設オペレーターなどに使ってもらうことを想定して作成しました。体裁はA4サイズのフルカラー(20ページ)で、図や写真を使い、わかりやすさを重視しているため、研修会のテキストに最適です。

全体の構成については、森林作業道の開設を「計画時」、「施工・作業時」、「作業終了時」といった段階ごとに区分し、各段階で有効となる土砂・濁水を流出させないための対策や留意すべきポイントなどを具体的に解説しています。

また、手引きの冒頭部分には土砂・濁水の発生源となりうる場所(図-2)と、それらの場所から土砂・濁水を流出させないための対策が一目でわかるように図示しており、各対策の具体的な解説のページもわかるように表示しています(図-3)。

  
図−2 土砂・濁水の発生源の解説   図−3 対策の解説  
図−2 土砂・濁水の発生源の解説  

図−3 対策の解説  


無料で配布しています

この手引きは無料(送料は負担が必要)で配布していますので、ぜひ入手してご活用いただきたいと思います。

 また、それぞれの現場における対策の方法や濁りの調査などについても相談に応じていますので、お気軽にお問い合わせください。

(本研究は農林水産技術会議「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」における「間伐促進のための低負荷型作業路開設技術と影響評価手法の開発」により実施しました。)