山菜として食べられているショウマ

(岐阜県森林研究所)茂木靖和


 昨年8月号の森のたよりで、(1)岐阜県は県土の80%以上を森林で覆われ、その林床には山菜や薬用植物あるいは園芸用に利用可能な有用植物がたくさん生育していること、(2)これらの有用植物の多くは山採りされるため、乱獲や森林伐採などにより自生個体数が著しく減少しているものがあること、(3)この対策として、希少有用植物をスギ又はヒノキ人工林の林床で栽培する試みを紹介しました。

 今回は、その時、取り上げたサラシナショウマを中心に、ショウマと名のつく山菜を紹介します。


3種のショウマの葉
3種のショウマの花
3種のショウマの新芽

 ショウマと名のつく山菜には、サラシナショウマ、トリアシショウマ、ヤマブキショウマがあります(写真1)。いずれも温帯〜亜寒帯に分布し、県内の飛騨地方や郡上地域などに自生しています。周囲に鋸歯(ギザギザ)のある小葉が複数集まって1枚の葉を形成しています。これらは、見た目が似ていますが、それぞれ異なる科に属しています。

(1)サラシナショウマ

 キンポウゲ科の多年草で、草丈は1m以上になるものがあり、8〜10月頃に目立つ白い花が咲きます。個体がまとまって生育する場所は、林縁あるいは立木密度の低い湿潤な林床です。昔と比べて人里に近い場所を中心に個体数が減少したといわれています。

 若芽は茹でたあと長時間水にさらして、あくを抜いてから、お浸し、和え物にして食べます。独特の苦みが特徴の山菜ですが、最近その苦みゆえにあまり食べられなくなりました。ひげ根を除いた根茎は升麻(ショウマ)という、漢方薬で解熱、解毒に用います。

(2)トリアシショウマ

 ユキノシタ科の多年草で、草丈は40〜100cmに達し、7〜8月頃に白い花が咲きます。林内だけでなく、道路沿い、伐採跡地など日の良く当たる所にも生育しています。

 若芽は茹でたあと水にさらして、お浸し、和え物、煮物などいろいろな食べ方があり、おいしい山菜とされています。地方によってはトリアシと呼ばれています。

(3)ヤマブキショウマ

 バラ科の多年草で、草丈は30〜80cmに達し、6〜8月頃に白い花が咲きます。トリアシショウマと一緒によく生育しています。

 若芽はトリアシショウマと同様に食べます。地方によってはイワダラ、ジョンナと呼ばれています。



 今回紹介した三種の山菜の素材の味を知るために、茹でた後、水で冷ましたものを試食してみました。トリアシショウマ、ヤマブキショウマは、このままでも山菜として充分おいしいものでしたが、サラシナショウマは、苦みが強く、あく抜きの必要性を痛感しました。調理方法で苦みを活かすことができれば、サラシナショウマをほろ苦い山菜として食べることができると思います。


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