県全域の森林路網図を作成しました

(岐阜県森林研究所) 古川 邦明



森林研究所では森林管理や森林経営計画策定などを支援するため、森林情報を地図化して提供しています。その一環として県全域のデジタル森林路網地図(以下、路網図)を作成しましたので紹介します。

作成の背景と目的

木材の生産計画を行う際、集出荷先に応じた最適運搬ルートや所要時間の計算が簡単にできれば、詳細なコスト計算による集出荷先の比較検討が容易になります。一般道を使ってのルート解析は、インターネット地図サイトで行えますが、林道や作業道はほとんど入っていませんので、林業分野での利用は限定的です。そこで、GISや地図ソフトで利用できる森林路網図を作成しました。

作成方法

路網図の道路区分は林道、作業道、一般道としました。路網図作成で、最も重視したのは道路の位置精度です。そこで道路は、航空写真(オルソ)と微地形図(航空機レーザ計測で作成)から線形を判読して作成しました。さらに、最短ルートや到達時間の解析ができるよう、道路間の接続性を確認し、道路毎に車両平均走行速度を入力しました。

森林路網データとその活用事例

路網図に取り込んだ道路延長は49,623kmです(図1)。図2は路網図のデータを使い、高山市を対象にして市の中心地までのトラック運搬における往復所要時間を分析した結果です。所要時間60分以内と140分以内に区分し色分け表示しています。

  
図1.作成した森林路網図 図2.森林路網図の活用事例(到達時間分析)
図1. 作成した森林路網図 図2. 森林路網図の活用事例(到達時間分析)

課題

道路の情報として、最少幅員、カーブ最小半径、橋など、走行可能な車両の判断ができる情報は入力してありません。これらの情報の追加を検討していますが、これは現地踏査や道路管理者等への聞き取りが必要です。関係機関に情報提供等のお願いをすることになると思います。その際にはご協力をお願いいたします。