林地残材収集用運搬車両を開発しています

(岐阜県森林研究所) 古川邦明



温暖化対策のためCO2排出量削減への取り組みの必要性などから、建築廃材や製材端材等の木質バイオマスのエネルギー利用が拡大しています。その流れの中、豊富にあるとされる間伐等で発生する林地残材の利用に向けた取り組みが県内でも始まっています。しかし、まだ林地残材が収集コストの面から成り立つかどうか、不明な点が多いなど課題も多くあります。


林地残材とは

林地残材は、間伐材など立木を用材用の丸太として搬出した後に林内に残された枝・葉や根元部などの端材、それに除伐や保育間伐で切り捨てられた材などの総称です。林地残材は木寄せや集材方法の違いにより残され方が異なります。林内で造材してから木寄せする場合は、残材は林内に広く散らばってしまいますが、全木集材の場合は作業道脇や作業土場に残材がまとまって残されます。
 林地残材は用材丸太に比べ、個々の材積が小さいのに嵩張るため、林内に散らばった残材を集めていたのでは、効率が非常に悪くなります。コスト的に利用しやすいのは、全木集材作業でまとまって発生した残材です。


林地残材の特徴

作業道を開設して間伐した材を全木集材し、作業道上でプロセッサで造材しフォワーダで搬出する作業方法が全国各地で普及してきています。この作業方法では、造材時に発生する枝条、端材等の林地残材は作業道の路肩などに沿って残されます。
 林地残材は個々の材積が小さく嵩張る上に単価も安いため、輸送にかかる費用の影響が用材に比べて強くなります。そのため収集作業において、できるだけ多くの残材をまとめて効率的に運搬することが林地残材の利用を進める上で必要です。
 そこで森林研究所では、国の森林総合研究所や東京農工大学、メーカーと共同し、林地残材の利用促進のため、作業道沿いの残材を効率的に収集する作業車の開発を行ってきました。


林地残材収集用作業車の開発

開発した作業車は4ton積載のフォワーダをベースにしています。荷台部のあおりは可動式で左右に大きく開きます。あおりを縮めた状態での荷台容積は6m3ほどですが、最大に開くと容積は約20m3となります。開いた状態で、枝条等を積み込みあおりを閉じることで圧縮します。また、左右のあおり上部に可動式プレートが取り付けてあり、これが上からも抑えこむことで、圧縮効率を高めています。実証試験で、従来の荷台積込みに対し2〜3倍の残材を積み込むことを確認しています。荷下ろしは、荷台をダンプさせて行います。
 現在、開発作業車による実証試験を継続しており、操作上の問題もいくつか明らかになっています。

あおりを開いての残材積込み状況 あおりを縮め残材を圧縮した状況
写真 あおりを開いての残材積込み状況 写真 あおりを縮め残材を圧縮した状況


これからの取り組み

この作業車を作業工程に組み込む場合、別途積込み用のグラップルが必要になります。経費を抑えるためには、単体での作業が求められることもあり、現在グラップルを積載する準備をしています。その他の課題への対応などを行いながら、さらに実証試験を繰り返し、より使いやすいシステムとして提案できるようにしていきたいと考えています。