森林研究のネタ探し
千社インタビューについて

(岐阜県森林研究所) 天野 善一



【千社インタビューについて】

岐阜県には、林業・農業・工業に関する試験研究を行っている試験研究所が12あります。その総括は県庁の研究開発課で行っています。研究所は、県民の方々や産業界の研究ニーズに対応して技術開発を進めています。その研究ニーズを把握する手だての一つとして、平成19年度から「千社インタビュー」を12の研究所で行っています。

 注:12研究所の調査予定箇所が約千であることから「千社インタビュー」と名付けています。

千社インタビューでは、各研究所が企業・組合・農林漁業者へ直接訪問し、生産活動の現状や課題について聞き取りを行います。

また、昨年の秋以降は「世界金融危機」、「世界同時不況」を受けて、景況や動向についても聞き取りを行っています。

森林研究所では、森林組合・林業会社・木材会社・産直住宅組合・木材流通業・キノコ生産者等へお邪魔し、聞き取り調査にご協力を頂いています。

平成20年度の実績は、42件となりました。


【インタビュー内容より】

調査で良く耳にするのは「森林研究所は何処にあるの?」という、まさに耳の痛い話です。


 ■森林研究所の所在地:美濃市曽代(地図)岐阜県森林文化アカデミーの山の手方向にあります。

森林研究所
森林研究所

こうした話を受け、森林研究所では、研究・成果や研究発表会開催の情報をマスコミへ精力的に提供し、また、取材依頼を以前にも増して行っています。


1.森林研究所への主な要望



●森林保護関係では、「クマやニホンジカの防除」「カシノナガキクイムシやスギノアカネトラカミキリの防除」等が挙げられます。

●森林整備関係では、「間伐遅れ人工林の間伐」「高齢級人工林の間伐」「作業路網計画」「環境と作業路」等が挙げられます。

●木材関係では、「スギ横架材乾燥の低コスト化、品質向上及び歩留まり向上」等が挙げられます。


なお、業界からは木材関連の研究実施の要望がなされていますが、当研究所では、施設面や人的な面から困難な状況にあり課題となっています。


●キノコ関係では、「病害虫の防除」、「キノコ生産の低コスト化」等が挙げられます。


2.景況について



木材関連では、「受注が三〜四割減、単価の低下、生産調整に伴う納入量の制限が出てきている」という厳しいお話がありました。


【森林研究所の取り組み】

森林研究所では、皆様方の研究ニーズに対応する形で研究技術開発を進めています。

平成21年度からは、新たに「針葉樹人工林の高齢化に適応する間伐技術体系構築」、「長伐期施業に対応した作業路開設」、「菌床キノコ栽培の改善」に関する研究に取り組んでいます。

また、研究ニーズに応えるため、政府系研究資金等へも応募して研究費を確保し、研究内容の充実に努めています。

皆様方には、疑問点や課題がありましたら、お気軽に森林研究所へご相談を御願いします。