(岐阜県森林研究所) 古川 邦明
森林のたより 2008年11月号掲載
県内を始め全国各地で、間伐など森林作業の効率化のため、建設機械用機械をベースにして林業用に改造した、大型の機械の導入が進められています。当県では、プロセッサやフォワーダが多く導入されています。
しかし県内の山林の地形は急峻で複雑です。現在の大型の林業機械で作業するには、機械が林内に入っていくための、作業道が整備が必要です。また、道さえ開設すれば良いというものではなく、使用する大型林業機械に合った規格の作業路道網を開設する必要があります。特に、作業路上でプロセッサ作業を行う場合は、機械本来の能力を活かすことができません。
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図1のグラフは、同じプロセッサを使って、作業する条件の違いによる作業効率を比較検討した結果です。それぞれの直線は胸高直径と1本の処理に要した時間との関係を表しています。
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直線@とAは、ともに全幅3mの集材路上で造材作業を行った結果です。直線@は道際まで立木が立っていますが、直線Aでは道際の立木は少ない場所での作業です。直線Bは全幅4m程ある作業道の作業ポイントでの結果です。
作業場所に余裕があるほど、作業性が良くなるのは当然ですが、予想以上に作業効率に差がでました。またプロセッサでは、材の大きさによる1本当たりの処理時間に大きな差は出ないといわれますが、今回の作業道上での作業調査では、材が大きくなるほど、1本当たりの処理時間が増加する傾向が強く出ました。
図2は、フォワーダに材を積載して、道幅の異なる作業道で走行試験を行った結果です。使用したフォワーダは4トン積載のクローラタイプです。幅員により走行速度が異なる事が判ります。その結果を受けて、走行速度による作業効率への影響を試算した結果が図3です。幅員2.5mと幅員3.6mでの集材作業を比較すると、作業効率は、搬出距離200mで約1.2倍、500mで約1.4倍、1000mでは約1.5倍向上しています。
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図2 作業道幅員と走行速度 |
図3 走行速度と作業効率 |
作業道を高規格にすると、その分開設費は増えますから、規格は低く抑えたいところです。しかし、その分作業道の開設の目的である搬出作業の効率は悪くなります。作業道を一回しか使わないのか、次の間伐にも使うのかなどトータルでのコスト判断が必要となります。森林研ではこれらを明らかにするための調査を進めています。