施業プランナー研修はじまる

(岐阜県森林研究所) 下野俊彦



これまでの研修成果

平成二十年度から始まった「施業プランナー養成基礎研修」により、これまでに六十三名の施業プランナーを養成してきました。
施業プランナー養成基礎研修がはじまった当初は、「施業プランナーって何?」「施業プランナーってどういう人?」「何をやるの?」といった声がよく聞かれていました。
 しかし、今では、基礎研修を受講した研修生の多くは、今までの「ドンブリ勘定」では、今後生き残ることはできないことを感じ、それぞれの地域で「施業プランナー」として活動しています。
 なかでも、昨年度の研修生の一人は、地域の仲間(森林組合、林業事業体、土木事業者 など)とともに、地域の森林をどのようにすべきかを考える組織を設立するなど、地域の今後の森林管理をどのように行うのかを検討している方も出てきました。
 この研修生も、『昔は「ドンブリ勘定」で行っていたが、この研修を受けることによって、「費用(コスト)」について非常に敏感になり、「森林技術者に対する一日の事業目標」、「作業日報による事業の進捗管理・分析」などを行うようになった。』と話をしてくれました。
 また、今までの経験を活かし、自らが「間伐木の選木モデル林の作設」などを行って、不慣れな森林技術者の技術の向上に努めています。
 施業プランナー養成基礎研修を修了した研修生の中からこのような取り組みを行っていく方がでてきたことは、今までの研修の成果の一つでもあると感じています。
 また、この取り組みを行っている事業体の他の職員も「施業プランナー」という仕事に興味を持ち、平成二十四年度「施業プランナー育成研修」へ積極的に参加しています。

  
作業道開設状況 選木モデル林
作業道開設状況 選木モデル林


これからの施業プランナー研修

昨年度まで行ってきた「施業プランナー養成基礎研修」、「施業プランナーステップアップ研修」を見直し、平成二十四年度から「育成研修」「上級研修」「技術維持研修」の三研修に分けて実施していきます。

  
これからの施業プランナー研修の概要
これからの施業プランナー研修の概要


施業プランナー育成研修

施業プランナー育成研修は、今までの「養成基礎研修」にあたるものであり、これから施業プランナーとして活躍するための基礎的事項を学ぶ研修で、平成二十四年五月十八日から平成二十五年二月二十二日までの間に、延べ十六回の集合研修を実施します。この研修の特徴は、受講した各研修生が自ら集約化を行い、間伐等の森林施業を実施するといったOJT研修も行うことで、このOJTの成果を2回発表してもらいます。
 第一回施業プランナー育成研修を五月十八日に開催しました。この研修では、各研修生の自己紹介にはじまり、平成二十年度に基礎研修を修了した恵南森林組合の戸根伸剛さんから『先輩プランナーからのアドバイス』と題して、今回、受講している十八人の後輩に対して、研修生の疑問・悩みなどに答えながら、自身の経験を活かして講義していただき、最後に「低コストではなく、いかに儲けるか。そのためには、向上心を持って仕事に臨むことが大切。」と締めくくられ、研修生の今後の取り組みに対する「動機付け」になりました。
今後、県では、この「育成研修」のほか、「上級研修」や「技術維持研修」を通じて、これからの林業を支える『施業プランナー』の育成に努めていきます。

  
森林組合の指示図面 集約化実績
森林組合の指示図面 集約化実績
戸根さんが最初に取り組んだ集約化状況