締固め方法によって盛土の硬さはどの程度変わるのか

(岐阜県森林研究所) 和多田 友宏



はじめに

森林管理においても、木材生産の場においても林道、林業専用道、森林作業道といった林内路網の整備は重要な要素です。最近は、タワーヤーダ等高性能林業機械の導入も進んでおり、高性能林業機械と林内路網と組み合わせた作業システムを構築することで、より効率的に材を搬出することができます。

森林作業道は、切土・盛土による土構造を基本とすることから、開設時の土の処理方法が非常に重要な要素となってきます。林野庁の定める指針等では、「盛土は、複数層に分割して行うこととし、各層水平に締固めながら所定の高さまで盛り上げるものとする。ここでいう各層の仕上がり厚は、0.3m程度以下とする」となっています。では、締固め条件によって、実際盛土の仕上がり状況にどの程度の差がでるものなのでしょうか?

今回、締固め条件のうち、層の厚さを変えたときの土の硬さを調査しましたので報告します。


調査方法

砂質土の地盤に深さ約1.0mの穴を掘り、締固め条件を変えた時の盛土の硬さを測定しました。締固め条件は、締固め方法を統一し層の厚さを変えたもので3種類としました (表―1)。なお、締固めには、森林作業道の作設を想定し、バックホウ(バケット容量0.09m3,機械重量3.2t)を用いました。


  
表−1 現地の土質及び締固め条件
  
図−1 バックホウ模式図

調査結果

各条件でのNd値(土の硬さ)※を箱ひげ図で表すと図―2のとおりとなります。0.3mの層毎に締固めを行ったNo.1は、Ndの中央値が5を上回りましたが、層の厚さを0.5mとしたNo.2及び1.0mとしたNo.3のNdの中央値は5を下回る結果となりました。過去の研究では、崩壊の恐れがある箇所のNd値が5未満であったとの報告もあり、この報告と照らし合わせると、No2,3の条件では崩壊の恐れが高くなることが推測されます。

  
図−2 締固め条件別 Nd値

※Nd値:質量5kgのおもりを0.5mの高さから自由落下させ、0.1m貫入するのに要する回数

おわりに

均質に硬い路体を作るためには、指針等にあるとおり、0.3mの層毎に締固めを行うことの重要性が確認できました。森林作業道では主に構造物を施工せず、土構造で路体を作ることから、しっかりと路体を構築することが重要です。