東濃地域の希少樹種の保全
−遺伝的多様性に配慮した保全のあり方−

(岐阜県森林研究所)中島美幸


写真.東濃地域の希少樹種の花
(4月にはシデコブシ、ハナノキ、5月にはヒトツバタゴが花を咲かせます)
ヒトツバタゴ
ヒトツバタゴ
ハナノキ
ハナノキ
シデコブシ
シデコブシ

○遺伝的多様性が示す自生地の姿

 樹木の集団が持つ遺伝的多様性は、樹木が環境に適応して生存することを可能にしている重要な要素の一つです。遺伝的多様性が高い集団は、急激な環境変化に対処できる可能性が高いと考えられています。一方、遺伝的多様性が低い集団は、過去あるいは現在において、自生地の分断化や個体数減少の影響を受けており、環境の急激な変化に対処できず、自生地が消滅する恐れがあります。

 今回、東濃地域の希少樹種、ヒトツバタゴやハナノキ、シデコブシの遺伝的多様性の研究の紹介とあわせて、これらのデータからみた保全のあり方について述べたいと思います。

○東濃地域の希少樹種の遺伝的多様性

○遺伝的多様性から保全を考える

○遺伝データがなくても遺伝的多様性に配慮はできる

 遺伝的多様性が明らかになっていない種でも、個体数減少に注意し、異なる地域からの安易な個体移植をしないように配慮することが、遺伝的多様性に配慮した保全につながると思われます。


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