将来を予測しながら決めるヒノキ林の間伐
−東濃ヒノキのシステム収穫表ができました−

(岐阜県森林科学研究所)渡邉仁志・茂木靖和・横井秀一


■システム収穫表ができました
 システム収穫表は、コンピュータの演算機能を利用して森林の成長を予測するプログラムです。このたび京都府立大学の田中教授の「シルブの森」をベースに、岐阜県のヒノキ林に合うよう調整したシステム収穫表「シルブの森岐阜県東濃ヒノキ版」を作成しました。
 このシステムでは、間伐の時期や方法、本数(間伐条件)を自由に変えながら、森林の将来の姿を簡単に予測できます。

図−1 システム収穫表の概要
図−1 システム収穫表の概要

■システム収穫表の概要
 シルブの森は、表計算ソフトエクセル(Excel)で作成されており、使い方は簡単です。その概要を図−1に示します。

  1. 林分の基礎情報、林況を入力する。
  2. 間伐条件を入力する。
  3. 直径階分布、それに対応した樹高、蓄積などが出力される。
  4. 最適な間伐方法を決定する。

 なお、このシステムでは、最大5個の条件が同時に比較でき、例えば間伐時期や間伐方法、間伐率を変えたとき、伐採までの直径階分布(図−2)や蓄積量が検討可能です。

図−2 25年生ヒノキ人工林の30年後の姿
    (間伐条件を変えて比較した場合)
図−2 25年生ヒノキ人工林の30年後の姿(間伐条件を変えて比較した場合)

■システム収穫表を使ってください
 このシステムを実際の林分で検証した結果、30年後程度までであれば、比較的高い精度での予測が可能でした。しかし現在は東濃地域のヒノキ一斉人工林にしか対応していません。今後は実際の林分で利用と検証を繰り返しながら精度をあげたり、他地域にも適応させたりしていきたいと思っています。そのためにもこのシステムを現場でどんどん使っていただき、その感想をお聞かせください。


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