アケビの栽培

(寒冷地林業試験場)水谷和人



アケビの果実(当試験場圃場)

■はじめに
 アケビはつる性の落葉植物で、日本全土に普通に見られます。秋になると果実の口が開き、中の白い果肉が姿を現します。子供の頃、山へ行ってその果肉を食べた経験のある方も多いのではないでしょうか。しかし、アケビの利用方法は果肉だけではありません。表1に示したように芽、つる、果実と様々な利用方法があります。それにもかかわらず、栽培はあまり行われていません。少し古い資料になりますが、平成4年の統計によると全国の生産量は180tで、そのほとんどを山形県が占めています。栽培の歴史は浅く、十数年前から行われているに過ぎません。なお、これらの栽培は果皮の利用を目的としています。
 ひとくちにアケビと言っても葉の形や数からいくつかの種類に分けられます。葉が3枚の小葉に分かれるミツバアケビ、5枚の小葉に分かれるアケビ、及びこれらの雑種です。市場で有利に販売されるものは果皮が紫色に濃く着色し、果実の口が開きにくい大きなものです。このため、栽培にはミツバアケビを使います。

表1 アケビの利用方法
部 位利 用 方 法
新 芽木の芽と呼ばれ、古くから春の山菜として珍重される。
果 肉生食として菓子類にはない上品な甘さあり。
刻んで味噌炒めにしたり、中に味付けした挽き肉やキノコなどを詰めて
蒸し焼きにしたり、油で揚げて食べる。
つ る漢方薬で木通(利尿、鎮痛、排膿)、つる細工の材料
種 子漢方薬で木通子(利尿、鎮痛、排膿)

■栽培方法
【増 殖】
 苗木は苗木商より購入できますが、挿し木による方法で大量増殖も可能です。挿し木が容易な樹種とは言えませんが、当場の調査では前年枝を使用して7月に挿し木を行うことにより5割の発根が認められました。なお、同時期であれば当年枝でも同程度の発根率は期待できます。しかし、挿し付け方法や系統によって発根率が極端に悪くなることもあり注意が必要です。現在、これらの関係について詳細な調査を実施中です。

【植 栽】
 アケビはつる性の植物であることから、栽培に当たっては棚などの施設が必要です。先進地では平棚仕立てが一般的です。適地の範囲は広いと考えられますが、高品質の果実が生産されている場所は日当たりが良く、肥沃土壌で排水の良い緩傾斜地です。
 苗木を植えてから2〜3年で結実しますが、樹冠の広がりがあまり大きくならないことから棚仕立てで10a当たり200本程度を植栽します。その後順次状況に応じて間引きを行います。
 アケビは雌雄同株ですが、自家不和合性を示す果樹であることから植栽に当たっては他系統の混植が不可欠です。


アケビの平棚仕立て(山形県 佐藤氏圃場)

【施 肥】
 成木の場合の施肥は、春と秋の収穫後に窒素成分量で10a当たり年間20kg程度とします。6〜7 月の施肥は果実の品質低下を招くため行わないようにします。肥料は果樹用の有機配合肥料や化成肥料で十分です。

【病虫害】
 うどんこ病、黒点病、すす病の病害が知られています。特にうどんこ病は重要病害であり、防除を徹底しないと激害を受けます。また、アブラムシ類、カメムシ類等の害虫の被害を受けます。これらの被害を最小限に防ぐには、まず第一に日当たりと風通しを良くするように剪定に気を配る必要があります。
 なお、アケビについては現時点で病虫害に対する登録農薬がないため、今後の検討を要しますが、先進地では果樹用の農薬を年間十回程度散布しています。

【摘 果】
 授粉が確実であれば、一雌花に4〜5個の果実が結実します。しかし、このままでは収穫時に小さな果実しか得られないので、6月下旬までに数回に分けて摘果を行い、最終的には一雌花当たり1〜2個とします。

【収 穫】
 収穫時期は果実全体が紫色に着色し、果実に弾力がでて縫合線部分が白くなった頃です(口が開く3〜4日前)。果実は口が開いてしまうと商品価値を失うため、注意を必要とします。
 単価は出荷時期や品質で変動しやすいようですが、1kg当たり平均600円前後で、市場性が高いのは果実1個の重量が150〜300gのものです。

■食材としての利用
 全国的に見てアケビの果皮を食材として利用する習慣は東北地方、特に山形県を除くとあまりありません。また、その調理方法や利用に関する知名度も低い作目と言えます。しかし、先進地では一部を関東、関西や中部の市場へ出荷しています。現時点では、特殊な作目としての評価から需要があまり多くなく、先進地でも栽培面積は頭打ちの傾向にあるようです。このため、消費拡大のためのPR活動は避けて通れませんが、今後期待できる作目の一つではないでしょうか。


研究・普及コーナー

このホームページにご意見のある方はこちらまで