本冊子の目的と構成

 本冊子は,冷温帯域の落葉広葉樹林を対象に,用材生産を目的とした広葉樹林を造成する方法について解説したものです。できるだけ多くの,そして様々な立場の技術者の方々に,少しでも役に立つ情報をお届けすることを目的に編纂しました。
 本冊子の前身は『有用広葉樹林の育て方(岐阜県寒冷地林業試験場,初版1984)』で,これはその都度新しい情報を加えながら1995年までに3つの版を重ねてきました。しかし,研究の蓄積とともに全面的な改定が必要となり,今回,全く新しい形に改定しました。もっとも大きな変更点は,広葉樹林の密度管理(除伐や間伐)を個体管理を基本とした記述に改めたことです。
 本冊子の内容は,「実践編」と「解説編」の2部構成になっています。
 「実践編」では広葉樹林施業の現場における作業の方法や注意したい事柄を箇条書きで示しました。具体的な方法を述べるとともに,その理由もできるだけ記してあります。それは,”なぜその作業が必要なのか?”とか”どうしてこの方法が良いのか?”ということを知って現場に向かえば,作業に対する不安が無くなると同時に,例外的な事例(広葉樹林施業の現場では,例外が実に多い)にぶつかったときにも自ら考えて対処できると考えたからです。
 「解説編」では,「実践編」の内容に対する根拠をこれまでの研究結果に基づいて,話題ごとに解説しました。
 広葉樹林施業に関する研究はまだ途上段階にあります。そのため,これから開発が期待される技術やデータによる裏付けがきちんと得られていない技術もまだたくさんあります。また,樹種ごとに最適な保育方法に関しても十分に解明されていません。したがって,本冊子は現時点での最新版ではあるものの,最終版ではないということをご承知おきいただきたいと思います。

 なお,本冊子では,当県でこれまで行われてきた広葉樹林施業に関する国庫補助試験と県単試験の結果をベースに,国庫補助試験「冷温帯地域における広葉樹林施業技術の確立」の中でとりまとめたものです。


目次

実践編

 I 植栽による広葉樹林の造成

   1.樹種と適地の選定・・・・・・・・・・・・1
   2.植栽・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
   3.下刈り・ツル切り・・・・・・・・・・・・3
   4.雪起こし・・・・・・・・・・・・・・・・4
   5.枝打ち・・・・・・・・・・・・・・・・・4
   6.除伐・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
   7.間伐・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

 II 天然更新による広葉樹林の造成と二次林の改良

   1.稚樹の刈出し・・・・・・・・・・・・・・6
   2.更新補助作業(掻き起こし)と植栽・・・・6
   3.除伐・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
   4.間伐・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

解説編

   1.ケヤキの成長と土壌条件・・・・・・・・・9
   2.広葉樹植栽木の雪圧害・・・・・・・・・・10
   3.広葉樹植栽木に対する誤伐とその防止・・・11
   4.広葉樹植栽木の獣害・・・・・・・・・・・12
   5.広葉樹植栽木に対する雪起こしの効果・・・13
   6.ブナ稚樹の刈出し効果・・・・・・・・・・14
   7.広葉樹の成長と樹冠・枝下高の関係・・・・14
   8.間伐の直径成長促進効果・・・・・・・・・15
   9.広葉樹の生産目標・・・・・・・・・・・・16
   10.広葉樹林の間伐と後生枝の発達・・・・・・17

  索引・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18


 残部がなくなりましたので,冊子の配布はしておりません。ありがとうございました。


手引書・仕様書

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