締固める機械によって盛土の硬さは変わるのか

(岐阜県森林研究所) 和多田 友宏



はじめに

林道・林業専用道・森林作業道といった林内路網の整備は、森林管理においても、木材生産の場においても重要です。 その中でも、切土や盛土などの「土構造」を基本とする森林作業道では、崩れにくい路体にするため、盛土を締固めて硬くすることが重要になってきます。
 森林のたより第750号(2016年3月)では、1回(1層)の敷均し厚さを変えた試験の結果から、0.3mの層ごとに盛土を締固めることが効果的であることを紹介しました。
 今回は、締固める機械によって盛土の硬さが変わるのかを確認しました。

試験方法

試験は、平坦な地盤を掘り下げて作成した溝(深さ約0.9m、幅約0.6m、長さ約3.0m)に土を敷均して、それを締固める作業を森林作業道の盛土の締固め作業と想定して実施しました(図1)。 また、締固め作業の1工程分(以下、1層とする)の厚さを0.3mとし、図―1のとおり3層(上層・中層・下層)実施しました。敷均しには掘り取った土砂を使用し、締固めはバックホウのバケット部を用いて5回ずつ行いました。
  盛土を締固める機械には、重量約3.3t、バケット容量平積0.06m3の小型バックホウ(以下、小型BH)と、重量約7.9t、バケット容量平積0.20m3の標準バックホウ(以下、標準BH)を使用しました。盛土の硬さは、 簡易貫入試験により求めたNd値※を用いました。簡易貫入試験は試験箇所を変えて、締固め機械毎に3回実施しました。

※Nd値:質量5kgのハンマ(おもり)を50pの高さから自由落下させたとき、貫入コーンを10cm貫入させるのに要した打撃回数を求めたもの




図1 試験の模式図
図1 試験の模式図
(下層の締固めの例)

試験結果

小型BHと標準BHの深さ毎のNd値を、図2に示します。
    過去の試験において、盛土崩壊発生箇所のNd値が5未満である場合が多いことが報告されています。標準BHでは、Nd値が5以上の検出割合が8割以上あったのに対し、小型BHでのNd値が5以上の検出割合は3割未満でした。   このことから、今回の試験条件では小型BHでは十分な締固めができておらず、1層の厚さや締固め回数などを再検討する必要があります。

図2 深さhとNd値の関係
図2 深さhとNd値の関係

おわりに

今回の試験により、締め固める機械によって盛土の硬さが変わることが、確認できました。
  はじめにでも触れましたように森林作業道では土構造で盛土をつくることを基本とすることから、しっかり締固められた盛土をつくることが重要です。そのためには、締固める機械毎の適切な盛土施工方法が必要と考えます。