タワーヤーダの主索・控索にかかる張力調査(続報)

(岐阜県森林研究所) 古川邦明



はじめに

タワーヤーダの主索等の張力を調査した結果について、本誌745号(2015.10)で報告しましたが、森林研究所ではその後もタワーヤーダの架線張力について調査を継続しています。今回は、前報以降の調査結果について報告します。

調査機種と調査方法

 調査機種は、岐阜県が導入したLarix Lamako(チェコ・メンデル大学製)と、前回も報告したT40-TY(イワフジ製)です。調査地の概要と張力を計測した索について、表1に示しました。張力は前報と同様、張力計を用い、主索は先柱への取付位置、控索はアンカーへの取付位置で計測しました(図1)。

Larix Lamakoは2か所(調査地A、Bとする)、T40-TYは1か所(調査地Cとする)で調査しました。調査地Aは主索と4本の控索の内、内側の2本で張力を計測しました。調査地Bと調査地Cでは、控索の張力のみの計測となりました。調査地Bは4本の控索全て、調査地Cは、3本の控索の張力を計測しました。

図1 張力計測位置 表1 調査地の概要
図1 張力計測位置

表1 調査地の概要

張力測定結果

図2は張力計測の結果です。限られた紙面ですので、両機種で最大張力を計測した際のグラフのみ示しました。

○調査地A:主索の最大張力は、145kNでした。主索から水平距離で約20m離れたところの全木1本(スギ,DBH:40cm,H:20m)を横取りしている時に根掛りした材が外れる直前に記録しました。控索の最大張力は54kNでした。こちらも横取りの際に根掛りした材が外れた時に記録しています。2本の控索の張力はほぼ同じ値で変動しており、バランスよく張られていることがわかります。

○調査地B:4本の控索の最大張力は、内側の控索で66kNでした。全木6本(ヒノキ,DBH:12,14,18cm、H:16〜22m)を荷上げ時に根掛りした枝が外れる直前に記録しました。内側2本の控索には常に15kN以上の張力がかかっていましたが、外側の2本にはほとんど張力は掛かっていませんでした。

○調査地C:3本の控索の最大張力は、中央の索(図2-B,No3)での68kNでした。これは全木6本(ヒノキ,DBH:16〜20cm,H:15〜17m)をまとめて横取りして、材が暴れた時に記録しました。この時の左右の控索の張力は54kN、21kNと、外側の控索に大きな張力がかかるともに、差も大きくなりました。これは、アンカーとなる立木の配置が悪く、主索に対して控索を張る角度を均等に設置できなかったためです。

おわりに

前回と同様に主索には150KN前後の張力が発生することが確認できました。控索は最大68kNと前回より大きな張力が計測されました。タワーヤーダの各索の張力は、設置方法によって異なります。作業条件ごとの調査事例も少ないので、今後も調査を継続していきますが、タワーヤーダで集材を行う場合は、少なくともこれまで報告したような張力が各索に発生することを想定して架設・集材作業を行ってください。

1.Larix Lamako 主索張力 最大値145KN
1.Larix Lamako 主索張力 最大値145KN
2.Larix Lamako 控索張力 最大値66KN
2.Larix Lamako 控索張力 最大値66KN
3.T40−TY 控索張力 最大値68KN
3.T40−TY 控索張力 最大値68KN
図2 張力測定結果
1.調査地A:Larix Lamako 主索張力
2.調査地B:Larix Lamako 控索4本張力
3.調査地C:T40-TY 控索3本張力