相対幹距比早見カードを作りました

(岐阜県森林研究所) 大洞智宏



はじめに

岐阜県森林研究所では、針葉樹人工林で間伐を実施する場合に、伐採率等を決定する場面で活用できる密度管理カードを開発し、本誌(2005年11月号)でも紹介しました。この密度管理カードは、立木密度と平均樹高から収量比数(Ry)が求められるものでした。

近年、針葉樹人工林の混み具合を収量比数ではなく、計算方法がシンプルな相対幹距比(Sr)で表すことが多くなってきました。そこで、現場で簡単に相対幹距比が求められるように早見カード(写真)を作成しました。

写真 相対幹距比早見カード

相対幹距比とは?

 相対幹距比は、上層木の平均樹高に対する立木の幹と幹の間の距離(幹距)の平均値の割合です(図)。これは、単純に立木密度だけで混み具合を判断するのではなく、立木の高さを加味し、同じ密度でも樹高が高い林分の方が混んでいると判断する指標です(例えば、本数が同じでも、植栽直後の状況と樹冠がふれあう程度に成長した林では混み合い方が異なります)。

一般的にスギ、ヒノキの、相対幹距比の目安として、表のような値が示されています。

図 Sr=20%となる事例
表 相対幹距比の目安

収量比数との違い

 収量比数は、その林分で予想される最大の材積に対する実材積の割合になるため、同じ樹高、立木密度であっても、樹種や地域によって値が異なります。しかし、相対幹距比は、前述したように樹高と樹幹間の距離の関係を示すものであるため、樹種や地域に関係なく、樹高と立木密度が同じであれば、同じ値になります。

カードの使い方

1.調べたい林分の平均樹高(m)と立木密度(本/ha)を測定します。
2.カード上段の矢印に測定した樹高をあわせます。
3.下段で、測定した立木密度(本/ha)を探します。
4.林分の立木密度の下の窓内の数値が、その林分の相対幹距比となります(混み具合に応じて、相対幹距比を色分けしています(表))。

おわりに

カードは、今のところペーパークラフト式で提供しています。作成はごく簡単です。PDFファイルで作成しましたので厚紙にプリントアウトし、切り貼りして作成してください。
森林研究所のホームページからメールで申込みをしていただければ、原図ファイルを添付して返信いたします。また、原図を他の冊子のように郵送することも可能ですので、お問い合わせください。

現在、郵送は行っておりません。ご希望の方は、こちらのページよりダウンロードしてご使用ください。