情報機器を森林管理に活かす(17)
測量図を電子地図で管理する方法

(岐阜県森林研究所) 古川 邦明



前回まで、地図上に手書きした線形やコンパス測量で計測した測点を平面直角座標系や緯度経度に変換するツールと、それとは逆にGPS等で計測した位置の緯度経度をCADで使えるXY座標に変換するツールをご紹介しました(図1)。

これらのツールについて、もう少し具体的な利用方法の提案をしたいと思います。


【測量図を地図ソフトに表示する】

一般的に測量図は、原点を(0,0)としたXY座標で描かれています。測量図からは事業地の形や面積は判りますが事業地が何処に位置しているのか、尾根や谷の位置などどういった地形なのかは読み取ることはできません。これでは、事業地の管理には使いにくいため、位置が判るように測量図に尾根や谷などの地形情報を書き加えたり、測量図を見ながら地形図に手書きで事業地の形を描き写すなどして、事業地の位置が後からでも判るようにしています。

座標変換の2つのツール
図1座標変換の2つのツール

測量図をカシミールに表示する
図2 測量図をカシミールに表示する。「測量座標・地図座標変換ツール」で測量データを読み込み、測点1点だけ緯度経度を入力すると、カシミールで正しい位置に測量図を表示することができます。

「測量座標・地図座標変換ツール」は、コンパス測量で作成した測量図を電子地図ソフトに取り込めるようにデータを変換します(図1)。「測量座標・地図座標変換ツール」とカシミールなどの「電子地図ソフト」を組み合わせることで、測量図を簡単に電子地図上に表示させることができるようになります(図2)。一旦電子地図上に取り込んでしまえば、表示する縮尺も自由に変えられますし、他の事業地の測量図も次々に取り込めます。また、GPSで計測した林道などの路網図や、橋や堰堤など構造物の位置、さらには災害の発生場所など、管内全ての情報を1枚の地図上で管理していくことができます。しかも、紙の地図と違い、データを他のパソコンと共有することもできます。

さらにカシミールなどにはファイルの管理機能があります(連載10を参照)。この機能を使うと測量野帳や調査簿を表計算ソフト等で作成したファイルのアイコンを電子地図上の関連する事業地の位置に貼り付け、地図上から呼び出すことができます。

例えば測量図を取り込んだ場所に、測量データを記録したファイルを貼り付けるとか、状況を撮影した写真ファイルや、作業内容を記録したファイルを貼り付けておけば、優れた山の管理データベースとなるでしょう。

この他にも、工夫次第で色々な活用方法が考えられると思います。文章で書くと難しく思われるかも知れませんが、使ってみれば意外と簡単です。一度挑戦してみてください。