情報機器を森林管理に活かす(16)
コンパス測量とGPSの連携(その2)

(岐阜県森林研究所) 古川 邦明



前回には、地図上に手書きした線形やコンパス測量等の結果を平面直角座標系や緯度経度に変換するツールを紹介しました。今回は、これとは逆の緯度経度を平面座標系に変換するエクセルシートで作成したツールを紹介します。


【緯度経度→平面座標変換シート】

ハンディGPSが普及し間伐事業地調査や境界確定の時などにGPSを携帯することが多くなりました。GPSには経路を記録する機能があり、現場管理に活用している方もおられると思います。特に、作業路の線形検討で事前踏査した線形や管理歩道など、コンパス等での測量までは必要としない線形の把握に活用できます。しかし、一般に普及しているハンディGPSでは位置の計測値は緯度経度で記録されているため、例えば、CADで作成した事業地の周囲測量図に、GPSで計測した歩道や作業路の線形を取り込んだり、前々回までに紹介してきた作業路管理ツールに取り込むためには、m(又はmm)単位のXY座標に変換する必要があります。

このシートは、緯度経度で計測されたデータを測量図面用等のXY座標に変換するためのツールです。

緯度経度平面直角座標変換シートの表示画面
図1 緯度経度平面直角座標変換シートの表示画面。緯度経度で示された座標値を平面直角座標系や測量座標に変換します。

続いて、操作方法について説明します。

図1がシートの表示画面です。@の[TrkFile]をクリックすると、GPSで計測し保存したトラックデータファイルから緯度経度値をシートに読み込みます。Aの[WaypointFile]は@と同様ウエイポイントデータファイルから緯度経度値をシートに読み込みます。読み込んだ後に平面直角座標系に変換するのですが、その前にもう一つ作業があります。

この連載の最初の頃に平面直角座標系では日本を19の地域(系)に分け、それぞれ原点が決められていると説明しました。岐阜県はこの地域区分の7系に属しますので、地域の項目に7と入力されているか確認してください。その後B[平面座標系へ]をクリックすると、読み込まれた緯度経度値を平面座標系と測量座標、数学座標に変換して、シートに表示します。図1でX座標、Y座標の列が平面直角座標系の7系で変換された座標値です。CからEのコマンドボタンは、それぞれの座標系に変換された座標値をテキスト形式で保存します。

保存したファイルを読み込めば、CADで作った測量図等と重ね合わせてGPSで計測した線形等を表示させることができます。

前回と今回紹介した2つのツールは、森林研究所のホームページからダウンロードできるよう準備しています。限られた誌面での説明では、実際の使用に当たって理解しづらいことも多いと思います。森林研究所までお気軽に問い合わせください。


次回は、森林研究所ホームページで公開している森林測量システムと、GPS等での計測したデータの具体的な連携方法について紹介する予定です。