情報機器を森林管理に活かす(13)
路網計画支援ツールの紹介 その3

(岐阜県立森林文化アカデミー) 松本 武



前回に引き続き、路網計画支援ツール(仮称)のボタンF、G、Iの機能について紹介します(図−1)。

ツールのメニュー
図1 ツールのメニュー

【ボタンF】

図中に描画された領域と路網から、路線延長と、各路線の迂回率、路網密度、平均集材距離および路網密度修正係数を計算します。

迂回率:各路線の始点から終点までの直線距離と路線延長との比です。

平均集材距離:領域内の全ての地点から道路までの最短距離を平均した値です。領域内を格子で覆い、全ての格子点から道路までの最短距離を求めて平均する点格子法という方法によって求めています。対象地域を覆う格子の間隔はユーザーが任意に指定可能です。

路網密度修正係数:平均集材距離は、正方形の領域の真ん中に直線の道路が通過するような理論的なモデルでは、平均集材距離=2500÷路網密度の関係が成り立ちます。しかし実際には、路線配置の偏りや迂回・分岐等のため平均集材距離を計測すると、理論式よりも大きな値になります。理論式と実際の平均集材距離の比が路網密度修正係数です。

市町村単位での路網密度係数(公道+林道)は、概ね1.8程度と言われています。この数字が1に近づくほど路網配置の効率が良く、大きな値をとるほど配置効率が悪いと言えます。

図−2は実行結果です。赤線は既設の林道、緑線が計画した作業路です。作業路計画前は路網密度:40m/ha、平均集材距離:185m、路網密度修正係数:2.9でしたが、作業路計画後はそれぞれ119m/ha、32.5m、1.5と到達性、配置効率とも向上しました。ツールでは、各路線の線形を修正しての再計算や異なる複数の計画案の比較も手軽に行えます。

ボタンFの実行結果
図-2 ボタンFの実行結果

【ボタンG】

格子点の数値に基づいて塗りわけます。図−3は道路からの最短距離の計算結果を[ボタンG]で塗り分けたものです。赤色の部分が道路近隣の地域を表しており、道路からの距離別に塗り分けられています。他にも数値標高データ等の格子状のデータなど、セル内に何らかの数値が入力されていれば実行可能です。

ボタンGの実行結果
図-3 ボタンGの実行結果

【ボタンI】

岐阜県森林研究所で作成された「森林測量システム」を起動しますが、こちらは現在移植中です。乞うご期待を。