情報機器を森林管理に活かす(11)
路網計画支援ツールの紹介

(岐阜県立森林文化アカデミー) 松本 武



今回から、路網計画支援ツール(仮称)について紹介します。最近木材生産を低コストで行うための作業路の整備が進んでいます。作業路を開設する際には、できるだけ集材効率が良くなるように計画することが重要になります。ところが、いざ計画した路網を評価しようとしても手作業では容易ではありません。

今回ご紹介するツールは当初作業路網の配置の効率について、集材距離を指標として評価するためのツールとして作成しました。しかしながら、そもそも路網以外にも地形図ベースの情報を扱う上で基本的な、長さや面積等を簡単(手軽)に測定できるソフトウェアは意外に少ないことから、こうした測定が手軽にできるよう路網計画以外の機能も盛り込むことにしました。

特別なソフトは使用せず、汎用性の高い環境下で、簡易な操作性で使えることを基本方針としてマイクロソフト社のエクセル2003で作成しました(図‐1)以下では図中の@〜Iの各ボタンの機能について説明します。ボタン@は内部処理的な機能ですので省略します。



        
ツールのメニュー
図−1 ツールのメニュー (※ エクセル2003で作成しました。残念ながらエクセル2007では動作しません。)

【準備作業】

まず、背景画像として地形図や写真などを読み込みます。このとき基準となる長さの直線を描いておくとその長さを基に各図形の長さや面積を計算します。例えば森林基本図を読み込んだときに図中に記されている格子の長さと同じ長さの直線を描画しておけば出力される長さや面積は実際の長さになります。


【ボタンA】

シート上に描画された図形の延長・外周の計測を行います。次に、エクセルの描画機能(フリーフォーム)(図-2)を用いて、計測したい作業路や河川等を描画して(なぞって)いきます。最後にボタンAをクリックすると描画した図形それぞれの長さを表示します。図‐3は読み込んだ地形図上に谷を描き、それぞれの谷の長さを計測した結果です。図中のスケールと示されている緑色の直線が前述の基準となる長さを示す直線です。


        
使用する描画機能
図−2 使用する描画機能


【ボタンB】

描画された領域図形から面積を測定します。領域の描画は先ほどと同じく測定対象が描かれている地形図や写真等の背景画像を読み込んだ後、図‐2のフリーフォームによって計測したい市町村境界や流域等を描画します。描画し終わったら図形を何色でもいいですから半透明に塗りつぶします。本ツールでは図形が半透明で塗りつぶされているかどうかで領域か線かを判断しています。最後にボタンBをクリックすると領域の面積を計測します。図‐4は図‐3の水系に流域を描画し、流域面積を計測した例です。



        
水系の長さの測定例
図−3 水系の長さの測定例 (※ このとき基準となる長さの直線(スケール)を描き、地図上の長さを入力しておきます。その長さを基に各図形の長さや面積を計算します。)



        
流域面積の測定例
図−4 流域面積の測定例 (※ 図−3と同様にスケールに基づいて面積を計算します。)

次回も引き続き本ツールの機能を紹介します。