大丈夫ですか!あなたの家の庭木の松は
(岐阜県森林科学研究所)野平照雄
ご承知とは思いますが、現在発生している松枯れ被害はマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリによるものです。その仕組みは実に巧妙です。特に驚くのは1ミリ足らずの小さなマツノザイセンチュウが、あっという間に大きな松を枯らしてしまうことです。どこにこんな力を秘めているのか全く不思議です。この被害を防ぐにはマツノザイセンチュウを松の材内に侵入させないことです。これにはいろいろな方法がありますが、特に効果的なのは樹幹注入剤の施用です。使い方は簡単で幹に小さな穴をあけ、ここに容器を挿入するだけです。薬剤が松の樹体全体に浸透すると、その後侵入してくるマツノザイセンチュウをブロックするので、ほとんどの松は保護されます。しかし、施用を誤ると薬剤をうったのに木が枯れたということになってしまいます。特に次のことが重要なので、気をつけましょう。
- 施用は1〜2月に行う。暖かくなるとヤニが流出して薬剤が入っていかない。
- 基準量を施用する。木の大きさによって薬量が異なる。少ないと効果がない。
- 予防薬なので被害にかかった松には使用しない。薬をうっても効果がない。
最近、この被害は庭木の松にもよく発生しています。庭木の松は丹精こめて育てた、いわばその家の宝物です。このような貴重な松には今のうちに樹幹注入剤をうっておきましょう。
大丈夫ですか。あなたの家の庭木の松は!
写真 樹幹注入剤の施用
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